はじめに

自然との思い出

最近の子ども達は「自然」に触れる機会が少なくなっていると言う。1970年代生まれ、郊外のベットタウンで育ったぼくの環境でさえ、家から5分も歩けば田畑は広がり、それを囲むように水は流れ、ヤゴやゲンゴロウやザリガニはそこの住人だった。

アリの巣を見つけたら「穴はどこまで続いているんだろう?」と、近くにあった枝でほじくり、へびを目撃した日は慌てて家まで戻って、虫あみの反対側に爪楊枝をぐるりとつけた道具を自作し、へび退治に挑んだ。

秋になれば落ち葉をかき集め、焼き芋を楽しみ、ヤニがベトベトする松の木の上で、日が暮れるまで過ごしてみたり。秘密基地にピッタリな場所を一生懸命探してみたりもした。

この経験はぼくだけでなく、友達も、この時代を過ごした遠くの知らいない誰かも、今もなお続く、「ドラえもん」と「のび太」が過ごしている物語の中ででも繰り広げられている。

田畑や山や公園での外遊びは、ぼく達が気づかないうちに、自然と触れ合う機会を与え、数え切れないエピソードと思い出がそこにはあった。

人と自然

あらためて「自然」について考えてみたいと思う。人々はその生い立ちから自然の恩恵を受けながら生きてきた。土や水や風や火。そして人々の暮らしは、遥かむかしから「森や木」とともにあった。

自然は本来、人間では太刀打ち出来ない代物だ。地震や台風や洪水、そしてコロナウイルスに至るまで。人間に予想できないものが本来の自然の姿であり怖さでもある。だからこそ人類は自然に寄り添い、協調しながら暮らしてきた。

自然と効率化のはざまで

人と自然との関係がギクシャクしだすのは、戦後の高度経済成長期に入ってからだと言われている。

田園は宅地開発され、夏の暑さをしのぐ広葉樹林は、落葉や電線を邪魔するとの理由から敬遠され、子供のそばから緑が遠ざかっていく。

遊具にいたっては当時、施工が簡単で短期間で行えるもの、雨風に耐え、人の手間をかけずに済むメンテナンスフリーな材質のもの。親の目が行き届かなくても危なくない設計のものが好まれた。

そして現在、遊具は経年劣化を理由に新調されることなく姿を消しつつある。

未来を担う主役の子供達が、効率化という大人達の都合で振り回されている姿が見え隠れする。

人も自然の一部

この地球上ではあらゆるものが循環しているという。海から上がった水蒸気は雲となり、山に降らす雨はあらゆる動植物に豊かさをもたらす。山から川へ流れ出した水もまた、海に恵みを与え豊かさをもたらしている。

始めるのに遅すぎることはない。子ども達には国産材を使った木製の遊具や園庭に広がる森林で遊ぶ経験を通じて、将来、自然や生活環境について、考えるきっかけに繋がればと思う。

幼稚園・保育所の園庭改革への想い

「庭じまい」で出た庭石を「あけぼの幼稚園」で園庭改革の一環として滝組(築山風)をさせていただいたことから大きく進展致しました。

「あけぼの幼稚園」では、滝組と小川の流れを造った後に園庭を森のようにしたいと、ご希望され木登り用の「アキニレ」や、実を取る目的の「ムク」の樹で重量が3トンもある大木を植えました。

このことがきっかけで、あけぼの風の森保育園の木製遊具を林野庁の補助金を利用して納入すると、今度は園児達の遊び声が騒音問題となり近隣トラブルとなったことから、園児達の騒音問題に取り組みました。

どこの幼稚園・保育所でも問題になっている、園児達の騒音問題解決のために国の支援の下で、近畿大学との共同研究や公的機関での実験を繰り返して、住宅街での環境に配慮した、高さ2.5mの防音塀工事を林野庁の企画提案型実証事業で完成させる事ができました。

都市型幼稚園・保育所の多くは、土地が狭く園児達の遊び場も少なくて、遊び声が近隣との騒音トラブルとなる事が多く「おひさま岡町保育園」でも同じ悩みを持っておられました。

あけぼの風の森保育園の防音塀工事の実績を基に「おひさま岡町保育園分園」では、高さ6mの防音塀工事を施工して大きな成果を収める事ができました。

狭小地で高さ6mの塀は、住宅街での近隣との違和感をなくすデザインで施工し、騒音減少は想像以上に大きく関係者からは感謝されました。

続いて箕面保育園でも同じような防音塀の計画に着手したばかりです。

そんな実績が認められて、豊中市内の認定こども園では、3階建て遊具の提案を行っている。ニュータウンの一角にあり狭い土地を有効活用するには遊具を3階建てにして遊び場の面積を増やして、柱や壁も遊具として活用する事で遊び場の面積を3~4倍に増やす提案を行っております。建物の屋上からの導線で園児達の運動量を増やして体幹を鍛えられるアイデアを取り入れて計画を進めております。

近隣との騒音トラブル防止の為に、おじいちゃんの畑やおばあちゃんの畑など近隣とのコミュニケーションの場として「語らい広場」などを提案しております。

今後はますます過去の常識にはとらわれない園庭改革を提案して参ります。

sincaにこめた想い

私達は、木材を用いた遊具や防音塀を展開する事業を考えた時に、ブランド名が必要だと関係者全員で議論を重ねました。その結果、sinca(シンカ)と名付けました。「sinca」のsには6つから始まる意味を持ち、幼少期から木を親しむことで、将来、自然環境や生活環境について自ら考え行動できる人間を育てたいと願いを込めています。

  • 森化=森を感じる
  • 心化=心から楽しむ
  • 進化=未来へ進む
  • 深化=深く知る
  • 新化=新しい時代
  • 信化=可能性を信じる

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